アンパンマンのキャラ紹介には凄みを感じる
最近、子供の影響でアンパンマンを見ることが多くなりました。そこで感じたキャラ紹介の凄みを考えてみます。

ギネス記録のキャラ数
アンパンマンといえば二度と出てこないのではないかと思われるキャラもゴロゴロ出てきます。キャラ数がシリーズ全体で2200を超えているそうで、ギネス世界記録に登録されています。
レギュラーはアンパンマン、ジャムおじさん、バタコさん、めいけんチーズ(テロップではチーズ)、そしてばいきんまん。
商品群によく顔を出すメジャーなキャラとしてしょくぱんまん、カレーパンマン、メロンパンナ、クリームパンダ、ドキンちゃん、ホラーマンなどがいます。
他にはかばおくんやチビゾウくんといったいわゆる一般市民。
アンパンマンをはじめ、メジャーなキャラほど能力や設定が少ない印象です。
これは込み入ったキャラ設定の説明を避けているものではないかなと想像できます。反対にたまにしか出てこないキャラについては初見の人には説明が必要です。
例えば、ロールパンナはメロンパンナの姉であり、良い心と悪い心を持っている、などといった設定があります。これを本編中で誰かが口頭で説明するか、表現でアピールする必要があるわけです。
放送時間が短いアニメは特にEテレを中心にドラえもんやサザエさんといった老舗に多い。その中でもクレヨンしんちゃんや忍たま乱太郎、はなかっぱといった、キャラ数が多いアニメに限って登場するキャラの個性がわからず置いてけぼり感を強く感じるものです。
アンパンマンはさり気なくキャラの個性をアピールするのが、ものすごくうまいのです。
コキンちゃんの場合
最近では比較的メジャーなキャラにコキンちゃんがいます。声優は平野綾さん。
名前からも想像できるように、ドキンちゃんの妹分(つい最近まで妹だったとか)。ドキンちゃんよりも少し小さく青いのですが、しょくぱんまんが好きなためドキンちゃんとは時にライバルになります。
コキンちゃんの青い涙に触れると、悲しくないのに涙が出ることと、青い涙を出すためにウソ泣きを多用する特徴があります。
これらの情報を必要に応じて初見の視聴者に理解させる必要があります。
実例「コキンちゃんとありんこキッド」
タイトルの通りコキンちゃんとありんこキッドが登場します。他にはレギュラーの面々とドキンちゃん、一般市民的キャラです。
コキンちゃんに限って、どのように情報を与えていくかを見てみます。
- 開始早々、ドキンちゃんを「お姉ちゃん」と呼ぶ。
- 続いてウソ泣きを披露してドキンちゃんにツッコまれる。
- 中盤、ありんこキッドと遭遇したのち、いたずら心からかばおに青い涙を浴びせ悲しくないのに泣かせる。
- 終盤、ばいきんまんに青い涙を浴びせ泣かせたことで形勢逆転、アンパンマンを勝利に導く。
これを見る限り、1〜3でコキンちゃんの情報をさり気なく与えることで、初見でもコキンちゃんのキャラがわかります。ここに口頭での説明はほぼありません。
フランケンロボくんの場合
マイナーなキャラですが、フランケンロボくんという変わったキャラがいます。声優はTARAKOさん。
フランケンロボくんは触れたものに電撃が走る特徴があるのですが、他にもばいきんまんをパパと思いこんでいるという特徴があります。
これらの情報を口頭説明なしで見せていくのがアンパンマンの凄さです。
実例「フランケンロボくんとブリキッド」
こちらもタイトルの通り、フランケンロボくんとブリキッド、レギュラーキャラとドキンちゃん、一般市民キャラが登場します。
フランケンロボくんに限って見ていきましょう。
- 冒頭、星座を見ている際にばいきんまんの星座を見つけて「パパ」と言う。
- 不時着したブリキッドの宇宙船に興奮して飛びつき電撃を流す。
- 「パパを探す」と言い、ばいきんまんを地面に描く。
- 終盤、ばいきんまんに会えて飛びついて電撃。ばいきんまんは撤退。
この回は、ブリキッドについては「みんなにブリキのおもちゃを配っている」という説明がアンパンマンからあるものの、フランケンロボくんについては全く言及しません。本編の流れから察することができるからと思われます。
まとめ

アンパンマンは30分に2本立てのため、実質の放送時間は1本あたり10分程度。再登場のキャラはなるべく口頭説明を省く必要があります。
新キャラに加えて、再登場のキャラまで口頭説明するのはあまり格好の良いものではないようにも見えます。かと言って説明不足のままでは初見の視聴者には不親切です。
口頭説明なしに必要な特徴を理解させるあたり、とかく説明多寡になりがちな現代において、参考にできるところが多いのではないでしょうか。
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