【南千住回向院】首切り地蔵から解体新書・幕末の志士・カールゴッチを巡る【延命寺】
南千住にある回向院と延命寺はかつて小塚原刑場の跡地であり、解体新書ゆかりの地でもあります。そして幕末はおろかプロレス界のレジェンド、カール・ゴッチ氏のお墓まである古刹です。
なんやかんや盛りだくさんの南千住回向院
南千住の駅からは線路沿いなのですぐに見つけることができます。特に回向院は大きく金色に輝く葵の御紋が目立つのですぐにわかります。ここは徳川将軍家の馬が供養されたところだそうで、徳川将軍家ゆかりの寺です。
とはいえ、幕末ファンには橋本左内や吉田松陰、頼三樹三郎ら、安政の大獄で刑死した幕末のレジェンドが葬られ、史跡として参拝することができるようになっています。また毒婦として有名な(実際には毒婦ではないらしい)高橋お伝や鼠小僧治郎吉の墓まであり、ちょっとした歴史の空気を感じられます。
たまたま吉田松陰のお墓で手を合わせている方からお話を伺えました(プライバシーの関係上写真はありません)。この方は近所に住んでいて、半年に一度ぐらいはここで手を合わせているんだそう。
この方曰く、南千住回向院は両国にもある回向院から分けられたものだそうで、鼠小僧治郎吉の墓は両国の方が立派で有名なのだとか。両国の回向院にはペットを弔ってくれる関係で年に1度は行っているそうです。
そんな話をしながら、わかりにくい頼三樹三郎の墓まで丁寧に教えてくれました。また解体新書のことが書かれた観臓記念碑の前でもひとしきり解説いただいたのち、最後に遠い目をしながら「義展ちゃんは残念なことでしたね」おっしゃったので、「ああこれがそうですか。残念なことでした」と言いながら義展不動尊に手を合わせてお別れしました。詳しくは「義展ちゃん事件」で検索されると良いでしょう。
さて、そこまで丁寧に解説した方が全くスルーだった、ひときわ新しい墓こそプロレス界のレジェンドでアントニオ猪木氏の師匠でもあるカール・ゴッチ氏のお墓。個人的には生きている間には見たことはなく、ゴッチ式パイルドライバーでしか名前も聞いたことがありませんでした。一度でいいから生前の活躍を見てみたかったです。
いやはや、首切り地蔵にお参りする前からお腹いっぱいになりそうな、南千住回向院でした。
電車からも見える「首切り地蔵」の延命寺
電車はもとより、貨物線の線路わきからも見える首切り地蔵は、回向院からJR常磐線の下を抜けた隣の延命寺にあります。
延命寺はもともと南千住回向院で、JR常磐線の高架で敷地が分かれてから独立したそうです。首切り地蔵はなかなかの大きさで、道端にひっそり立っているお地蔵様とは違います。ただし地蔵菩薩が小さいというのは単なる思い込みです。
首切り地蔵は、延命寺と回向院がもともと小塚原刑場の場所にあり、ここで死んだ者たちを弔うためのものです。小塚原処刑場は品川、八王子と合わせて三大刑場といわれていましたが、八王子刑場はすでにどこにあったかわからないそうです。
小塚原(日光街道)、品川(東海道)、八王子(中山道)のように大きな街道沿いに刑場があるのは、江戸に入る人への見せしめだったのだとか。
今も、JRと地下鉄の車窓からは首切り地蔵が見えますので、満員電車でないときに余裕があればぜひ確認してみてください。
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