曹操は無事に故郷にたどり着けるのか 三国志演義第4話

2018年3月30日

董卓はついに少帝を廃し、陳留王(劉協・献帝)を立てた。そして董卓は相国となり、名実ともに人臣のトップに立った。

曹操は無事に故郷にたどり着けるのか 三国志演義第4話
曹操は無事に故郷にたどり着けるのか 三国志演義第4話

あらすじ

政治の実権を握った董卓は適当な理由を付けて廃したばかりの少帝と何太后らを殺してしまった。そして宮中では勝手気ままにふるまい、まるで自分が皇帝になったかのようだった。

董卓に反発して地元に戻った袁紹は、政権の大幹部である司徒・王允に密書を送り、反董卓の兵を挙げることを伝えた。一方の王允はよい策がなく困り果てていた。そこで曹操は自分が董卓に信用されていることを利用して暗殺しようと提案した。王允の七星宝刀を借り、董卓暗殺に向かった。

運よく側近の呂布が席を外すなど、チャンスはあったものの結局暗殺は失敗。宝刀を董卓に献上したあとはただ逃げることしかできなかった。董卓は李儒の進言に従い、曹操逮捕の命令を出した。

故郷の沛国譙郡を目指した曹操は、途中の中牟県で逮捕。県令・陳宮に助けられ、行動を共にすることになった。2人は成皐で、曹操の義理の親戚にあたる呂伯奢を訪ねたが、誤解から使用人たちを皆殺しにしてしまう。さらに曹操は逃亡する途中で出会った呂伯奢までも殺してしまう。曹操曰く「わしは自分が天下に背くことがあっても、背かれるのは我慢できないのだ」。陳宮は曹操のあまりの残忍さに絶望するのだった。

登場人物

  • 袁紹

少帝廃位に反対し、董卓のもとを去って故郷で反董卓の挙兵の準備を始める。

  • 王允

政権の幹部である三公の司徒。董卓を倒すための策が浮かばず途方に暮れる。曹操に宝剣を託したが暗殺は失敗に終わる。

  • 何太后

前の大将軍・何進の妹。少帝・劉弁の母。董卓によって劉弁とともに殺される。

  • 伍孚

政府の役人で董卓を暗殺しようと付け狙うが呂布に取り押さえられ殺される。「貴様はわしの主人ではなく、わしは家臣ではない。謀反とは何事か」は名言。

  • 曹操

董卓に重用されていることを利用し暗殺しようとするが失敗。逃亡の途中で義理の親戚である呂伯奢らを皆殺しにする。

  • 陳宮

中牟県の県令。曹操の志に感動し、一緒に逃亡するが誤解から皆殺しにしてしまったのに反省しない曹操に絶望する。

  • 丁管

少帝廃位に反対し董卓に立ち向かったが殺されてしまう。

  • 董卓

少帝を廃し、劉協即位に成功。政治の実権を握り権力を極める。向かうところ敵なし状態。

  • 李儒

董卓の参謀。少帝の廃位と暗殺に直接関わり、曹操の追っ手を出すことを進言した。

  • 劉協

陳留王。献帝。董卓の傀儡となる。

  • 劉弁

少帝。廃されたのちは孔農王。董卓に言いがかりをつけられ殺される。

  • 呂伯奢

曹操の義理の叔父。逃亡してきた曹操と陳宮をもてなす準備をさせ、自分は酒を買いに行く。その間、誤解から使用人を皆殺しにされ、呂伯奢自身も口封じのために殺されてしまう。

  • 呂布

董卓の側近。命を狙われ続ける董卓を常に守り続ける三国志最強の武将。

曹操を助けたのは誰なのか

曹操は董卓のもとを去り、洛陽から故郷の沛国譙県へと戻る途中、中牟県で足止めを食います。正史「武帝紀」では董卓を暗殺しようとしたわけではなく、袁紹と同じように董卓のもとで働くのを嫌ったようです。また捕らえられたのも、怪しい人物を捕えろ、という命令で捕まったのであり、曹操を捕まえる目的の命令ではなかったようです。

このとき曹操は中牟県の県令の部下の進言に助けられて釈放されました。「武帝紀」には県令もこの部下もはっきりと記されてはいません。

正史「魏書」の任峻伝を見ると答えが出るかもしれません。任峻は曹操の家来で、曹操の軍団を支える兵糧を得る手段として屯田制を整備した人物です。任峻は中牟県の出身で曹操が中牟県で足止めを食っていたときは県の役人でした。上司である県令は楊原という人で、任峻の進言に従って反董卓の兵を挙げています。任峻自身は曹操が挙兵して再び中牟県を通った時に、周辺地域をまとめ上げて曹操の家来となり曹操を喜ばせました。

このことから、曹操が故郷に帰ろうとしていたときの中牟県の県令は楊原で、実際に助けたのは任峻ではないかと思われるのです。

さて「演義」での曹操は中牟県を脱出したのちに、成皐で事件を起こします。この件については以下で。

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