放送開始50年 ウルトラマンは永遠のヒーローです

2016年7月29日

放送開始50年を迎えたウルトラマン。
ちょっとしたこだわりからウルトラマンはウルトラセブンまで、と公言しています。
ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンの中でも、やはりウルトラマンが一番です。
そんなウルトラマンの魅力とは。

永遠のヒーロー ウルトラマン
永遠のヒーロー ウルトラマン

ウルトラマンこそすべての始まり

世間的にはウルトラマン派と仮面ライダー派にわかれるそうです。
なぜか戦隊ヒーロー派というのを聞いたことがないのですが、きっとどこかにいらっしゃるでしょう。
僕は仮面ライダーの存在は知っているが見たことはない、典型的なウルトラマン派です。
ちなみに戦隊ヒーローは一部のシリーズを見ていました。

そんなウルトラマン派にとって、テレビで会える特撮や怪獣、宇宙人といえばウルトラマンです。
日本を代表する怪獣といえばゴジラと思われがちです。
しかしながら、ウルトラマン派にとっては日本の名物は「地震、怪獣、ウルトラマン」(第32話)に違いないのです。

テレビシリーズの特撮のさきがけでもあるウルトラマンこそすべての始まりです。

単なる勧善懲悪ではない

ウルトラマンはシリーズ毎に大きなテーマや、その時の流行が反映されています。
スポコンが流行るとウルトラマンレオのようになり、命が大事という風潮になるとウルトラマンマックスのようになります。
レオの場合は途中で息切れしたのか、円盤シリーズという凄惨な切り替わり方をしますが。

ともかく、ただ怪獣が大暴れしたり、悪い宇宙人が攻めてくるのを退治するだけではありません。
時としてウルトラマン自身が子供たちの敵となったり(第15話)、政治的に抹殺された人間の成れの果てと戦うこともあります(第23話)。
ウルトラマン自身が地球へ移住するための条件交渉を勝手に担うこともありました(第2話)。

話のテーマとして、環境問題(第32話)や交通問題(第20話)、人権問題(第30話)にも踏み込みます。
ウルトラマンのあとのウルトラセブンでは社会問題や地球の人間自身と対峙するテーマが増えていきます。
その傾向として、子供に地球の支配権が託されたこともありました(第33話)。

時事的な話として、万博の展示物として連れてきた怪獣が逃亡し大暴れすることもありました(第26・27話)
これは完全に人間のエゴであり、人災という他ありません。
このようにウルトラマンは地球人の尻拭いをさせられているような節も多々見受けられます。

人間側にもドラマがある

それでもなお、愚直に地球を、地球人を守るために戦い続けるウルトラマン。
その傍らには矛盾を抱えながら戦う人間もいます。
主題歌の1番の歌詞は科学特捜隊のことを歌っていますが、彼らこそもうひとつの主人公です。

「理論上はスペシウム光線と同等」の兵器を開発したり(第16話)、巨大化させられたりもしました(第33話)。
時には最後は必ずウルトラマンがとどめを刺すことに矛盾を感じて無気力になったこともありました(第37話)。
しかし彼らの頑張りがあるからこそ、ウルトラマンは必ず来てくれるのだとキャップも僕も信じていました。

そういう視聴者の立場に立ったような視点で描かれるのは、今の特撮モノにも見られるのでしょうか。

かといってシリアスな回ばかりではありません。
ベータカプセルとカレースプーンを間違ったことも(第34話)。

ウルトラマンには地球を守る指名を帯びた人間であろうと、普通の人間であることが描かれています。

好きな回 3つ

どれが一番かはなかなか選びがたいので、放送順に3つ選びました。

侵略者を撃て(第2話)

最も有名であろう宇宙人、バルタン星人が登場する回です。
2話にして早くもバルタン星人はただの侵略者ではないことが明らかになります。
そのため、一時はウルトラマンが移住の提案をしますが、決裂し戦うことになります。

この回のポイントです。

核ミサイルはげたか

防衛軍が保持する戦術核兵器。放射能はゼロで、破壊力抜群。
放射能ゼロだとしても核兵器が日本に存在してよいのか、というツッコミもむなしく躊躇なく使用される。
しかしながらバルタン星人にはほとんどダメージを与えられず、以降の戦いに使用されることはなかった。

宇宙語キ○ガイ

科学特捜隊のイデ隊員のことで、今で言う宇宙語マニア。
宇宙語というザックリしたくくりで心配させるが、わかりにくいと言われながらもバルタン星人とのコンタクトには成功する。
宇宙人初登場回で早くも宇宙人との会話を成立させた重要な役割だった。
その後登場する宇宙人の大半は日本語を話すので、再度披露することはなかった。

スペシウム光線

ウルトラマンが多用するフェイバリット。
第2話で科学特捜隊のムラマツキャップとフジ隊員が命名する。
通用しない相手もいるが、バルタン星人は第16話で登場した際にはしっかり対策してきた。

怪獣殿下(第26話・第27話)

ウルトラマン唯一の前編・後編の2部構成で、大阪を舞台とした話です。
大阪万博に出展するために生け捕りにしたゴモラ(ゴモラザウルス)が逃亡し大暴れします。
ベータカプセル紛失や、大阪城破壊など見どころ満載です。

以下、ポイントです。

自衛隊

怪獣殿下はウルトラマンがテレビから現実の世界に出てきた、ということになります。
冒頭で「怪獣殿下」とあだ名される少年が「怪獣が本当にいる」と訴えても馬鹿にされます。
26話もやってきてどうなってるのか、と思うところです。

もうひとつが自衛隊。
ここまで自衛隊っぽい人たちが怪獣と戦ったりしますが、彼らは防衛軍。
核ミサイルを躊躇なく撃てるのも日本にはいないはずの軍隊だから。

怪獣殿下で初めて自衛隊が登場します。
つまりフィクションの世界から現実世界へとウルトラマンが出てきたということを印象付けます。

関西が舞台

怪獣殿下の舞台は大阪です。
これはスポンサーである武田薬品工業の本社が当時大阪だったためです。
ウルトラセブンでも「ウルトラ警備隊、西へ」の前後編が神戸を舞台にしていて、スポンサー回になっています。

大阪なり神戸なりが舞台になるということで、当然史跡が破壊されるのですが、スポンサー的にOKだったのでしょうか。

「怪獣殿下」では六甲山麓に投下されたゴモラが、千里ニュータウン、大阪市内へと移動します。
科学特捜隊としては「大阪人の心」である大阪城を守りぬきたかったようですが、あえなく破壊されます。
自衛隊と科特隊が作戦本部としていた場所は、かつて福島区にあった大阪タワーです。
ウルトラマンを放送していた朝日放送の敷地内で最上階にスタジオがあり、一般人でも見学可能でした。
僕も一度だけ登ったことがあります。

禁じられた言葉(第33話)

個人的に宇宙人最強と思っているメフィラス星人登場回です。
その星の子供が「(その星を)あげます」と言わせることで、侵略するというやや面倒な決め事を持つメフィラス星人。
彼が地球侵略に先立って目をつけたのが科特隊のフジ隊員の弟であるサトルくんでした。

メフィラス星人はサトルくんに「あげます」と言わせるためにいろんなことをします。
フジ隊員を巨大化させたり、支配下にあるとして宇宙人を呼び出してみたり。
最後には(サトルくんを)地球の王様にする、とまで言います。
さて、サトルくんは、そしてウルトラマンは…。

以下、ポイントです。

選んだ相手が悪かった

サトルくんはよくできた子供だったおかげで、地球は侵略されずに済んだと言っても過言ではないでしょう。
「地球はみんなのものなんだ」は名言と言わざるをえません。
仮に僕が捕らえられ、地球の王にする提案を受けたら「地球王に、俺はなる!」と言っていたことでしょう。
実際になれるかどうかはわかりませんが。

メフィラス星人自身はサトルくんを強情だと思ったようです。
それでもなおサトルくんに「あげます」と言わせることにこだわるメフィラス星人も相当強情ですけどね。
もっと簡単に言ってくれそうな子供をあらためて探したらよかったんではないでしょうか。

地球のことは地球人に

メフィラス星人はウルトラマンとの戦いを互角以上に進めながら帰ってしまいます。
地球のことで宇宙人同士がどうこうするのは腑に落ちなかったようです。
一方でウルトラマンは「地球の法律さえ守れば共生は可能」という持論を持っており、独断で交渉も行いました。

メフィラス星人は「かならず来るぞ」と言っていたので、必ず来ます。
地球人としてはその時までに地球代表となる子供の育成をしておかなけらばなりません。
今やサトルくんもおじいちゃん世代になってしまっていますので、後継者育成が急務です。

ウルトラマンでも勝てなかった相手ですが、地球のことは地球人が決めなければなりません。

ケムール人の子供?

メフィラス星人傘下の宇宙人として、バルタン星人、ザラブ星人、ケムール人が登場します。
彼らは地球に来たことがあるので選ばれただけで、傘下の宇宙人はもっといそうです。
ところで、メフィラス星人の仕事の流儀といえば、子供に「あげます」と言わせることです。
個人的にはケムール人の子供が気になります。

ケムール人といえばウルトラQで、肉体が老化してしまったために若い地球人を拉致していきました。
この設定は本人が話さないので、あくまで推測ということになります。
しかしこれを信用するならケムール人に子供がいたのか、という疑問が生まれます。

あくまで宇宙人の干渉を許さず、子供の「あげます」にこだわるメフィラス星人。
彼がケムール人のみ例外を認めるとは思えません。
それとも子供に「あげます」を言わせるのは彼だけで、別のメフィラス星人は言わせないのでしょうか。
妙なところで謎は深まります。

おわりに

ヒーローとしての葛藤、人間の奮闘、怪獣や宇宙人の咆哮など、魅力にあふれたウルトラマン。
最終話では命を2つ持ってくるという信じがたいことが起こりますが、細かいことを気にしてはいけません。
目の前で起こることだけを受け止めれば良いのです。

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